相続開始前に親族調査を実施する意味

 当事務所では、「実際に相続が開始される前に(現時点での)親族調査・確認する」ことをお勧めしています。
 例えば、自分の父親が亡くなる前に、実際に父親が亡くなった場合には法定相続人として誰が存在するのか、ということを今のうちに一度調査しておくということです。
 なぜそんなことが必要なのかというと、実際に相続が開始してから「実は前妻との間に子(いわゆる腹違いの子)がいた」「すでに亡くなっている長男に子がいた」「離婚した母が実は兄を引き取っていた」など、これまで知らなかった事実が判明することが少なからずあるからです。

 ほとんどの人は人生で必ず何度か「相続」に出会います。
 ご存知のように「相続」は、誰かが亡くなれば必ず開始することになり、自分に配偶者(夫や妻)・親・祖父母・兄弟姉妹・子などがいれば、いつかは必ず直接・間接問わず何らかの関係が発生すると思っておいて間違いはありません。仮に「財産がないから」「相続するつもりがないから」「長い間疎遠だから」という事情や理由があっても、「人の死亡」という事実によって自動的かつ強制的に開始し、それに伴うその後の処理(相続手続き)等をする必要が発生します。

 多くの人は、例えば自分の親が亡くなったときに初めて具体的に「相続」に関り、必要な調査や手続きに相当な時間と労力がかかることを実感するでしょう。そして場合によっては「知らない親族」が発覚することがあるかもしれません。

 自分が主体となって手続きを進める相続で真っ先に思いつくのは「親」が被相続人(=亡くなった人)となる相続だと思いますが、戸籍を確認して親の生まれてから死亡までの身分関係を正確に把握している人は一体どれくらいいるでしょうか?「父親は祖父の実子か」「母親は初婚で自分を出産したのか」「父親の出生地は何処なのか」など、言われてみるときちんと確認したことがないことが多くあることに気づきます。
 過去に自分の戸籍簿を取得したことがある人は一緒に親の記載があるのを見たことがあるかもしれませんが、親について言えば、その戸籍簿でわかるのは通常は「結婚してから」の分だけです。結婚前のことは記載されていません。これが祖父母や伯父伯母(叔父叔母)となるとますます未知の事となるでしょう。

 相続が開始されてから、(特に「遺言書」等がない場合は)被相続人に「財産(借金等マイナスの財産も含めて)がどれだけあり、それを相続する人(法定相続人)は誰なのか」ということを調べるため、まず「相続財産の確認」と「相続人の確定(親族調査)」が必要になります。このうち「財産」については、被相続人はまだ亡くなってないわけですから、年金等何らかの収入があったり、生活費や娯楽・買い物などまだまだ変動する要素がありますので、実際の相続開始まではできることはありません。しかし、親族関係(実際に相続が開始した場合に誰が相続人となるのか)については、“現時点”での親族関係を調査し確認・把握しておくことは可能です。もちろん、今調査しても実際に相続が開始するまでには結婚・離婚したり子供が生まれたり、養子縁組(または解消)をしたりと、こちらも変動する可能性がないわけではありませんが、少なくとも現時点での親族関係は確認することができます。

 当事務所の「相続開始前親族調査」では、未知の親族関係(相続関係)に備え、実際に相続が開始した際にスムーズな手続きを支援するためのサービスです。調査により万一知らなかった親族の存在が発覚した場合や法的に親子関係が成立していないことがわかったといった場合でも、想定被相続人(ここでは、例えば親)がまだ健在であれば、何らかの相談や対策等をすることができる可能性がありますし、少なくとも事実を正確に知ることで何らかの準備をしておくことができます。

 当サービスを利用するタイミングとしては、「親が一定の年齢になった」「親が体調・健康を崩した」「親の物忘れが目立つようになった」など、親の健康状態や認知機能が著しく低下してしまう前、または「自分自身が体調を崩した」や「就職し社会人として自立した」「結婚して自分の家族を持った」「子供が生まれた」など、自分自身が一定のポジションになったことを機に検討してみることをお勧めします。

 仮にあなたが当サービスを利用して親や祖父母に関わる親族関係を調査したとしても、それが他の親族に知られる心配はありません。また、行政書士にも法令により厳しい守秘義務が課せられており、こちらも情報漏洩の心配なく、安心してご利用いただけます。

2021年01月12日