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行政書士とは…?

 行政書士とは、行政書士試験という国家試験に合格するなどした上で、法令の定めにより設立された行政書士会(富山県内に事務所を開設する場合は「富山県行政書士会」)を通じて日本行政書士会連合会に登録した「国家資格者」です。
 日本行政書士会連合会に登録すると、固有の「登録番号」が付与され、その登録番号が明記された顔写真付きの「行政書士証票」(運転免許証のようなカード型の身分証)が発行されます。行政書士は、その業務を行う際はこの登録はもちろんのこと、行政書士証票や行政書士徽章(バッチ)を携帯しなければならないので、初めての面談・相談等の場合はこれらの提示を求めれば、有資格者であることが確認でき安心です。

 行政書士は、官公署(役所)への各種の許認可申請を代理・代行をしたり、権利義務や事実証明に関わる文書・書類・資料等を作成する専門家でありプロです。これらの業務を遂行するためには広範な法律知識や社会経験・実務経験はもちろんのこと、状況把握能力・論理的思考センス(論理構成能力)・文書作成能力やコミュニケーション能力が求められることから、そして事業者や個人の方が気軽に相談できる実務法律家であるという事から「頼れる街の法律家」と呼ばれています。
 また「身近な法律家」とも言われており、それは弁護士のように「裁判・訴訟」「紛争」「刑事事件」など、一般の方が普通に生活を送っていく上であまり関わることのない分野ではなく、「遺言・相続」「結婚・離婚」などのような家族関係から、ご商売の営業許可・法人設立・自動車の登録や所有権移転などの官公署に対する各種の「許認可申請」、そして事業を営む上で必要になる契約書をはじめとした各種書類の作成など、一般の方が生活や事業を行う上で必要になる手続き等に深く関わる専門家だからに他なりません。

 行政書士など「士」の文字がつく仕事(専門家)を「士業(しぎょう)」と言いますが、行政書士以外の士業としては弁護士・税理士・公認会計士・社会保険労務士・弁理士など様々なものがあります。各士業はその業務の範囲が法令により定められていたり、専門分野・得意分野がありますが、行政書士は他士業と比較してもその業務範囲がとても広範だと言われています。
 事業等で普段から頻繁に関りがあるという方以外は、あまり馴染みのない「士業」。それぞれの業務範囲や専門分野等は一般の人にとってなかなかわかりにくいものです。まずは広範な守備範囲を持つ「行政書士」に相談してみてはいかがでしょうか。行政書士を入口にして各専門分野へとアプローチすることで、解決の糸口が見つけやく解決までの時間短縮になると思います。

 業務を行うにあたっては、法令による厳しい守秘義務も課せられているので、相談内容や依頼内容が第三者に漏洩してしまう心配をせず、安心して利用することができます。

2021年01月12日

相続開始前に親族調査を実施する意味

 当事務所では、「実際に相続が開始される前に(現時点での)親族調査・確認する」ことをお勧めしています。
 例えば、自分の父親が亡くなる前に、実際に父親が亡くなった場合には法定相続人として誰が存在するのか、ということを今のうちに一度調査しておくということです。
 なぜそんなことが必要なのかというと、実際に相続が開始してから「実は前妻との間に子(いわゆる腹違いの子)がいた」「すでに亡くなっている長男に子がいた」「離婚した母が実は兄を引き取っていた」など、これまで知らなかった事実が判明することが少なからずあるからです。

 ほとんどの人は人生で必ず何度か「相続」に出会います。
 ご存知のように「相続」は、誰かが亡くなれば必ず開始することになり、自分に配偶者(夫や妻)・親・祖父母・兄弟姉妹・子などがいれば、いつかは必ず直接・間接問わず何らかの関係が発生すると思っておいて間違いはありません。仮に「財産がないから」「相続するつもりがないから」「長い間疎遠だから」という事情や理由があっても、「人の死亡」という事実によって自動的かつ強制的に開始し、それに伴うその後の処理(相続手続き)等をする必要が発生します。

 多くの人は、例えば自分の親が亡くなったときに初めて具体的に「相続」に関り、必要な調査や手続きに相当な時間と労力がかかることを実感するでしょう。そして場合によっては「知らない親族」が発覚することがあるかもしれません。

 自分が主体となって手続きを進める相続で真っ先に思いつくのは「親」が被相続人(=亡くなった人)となる相続だと思いますが、戸籍を確認して親の生まれてから死亡までの身分関係を正確に把握している人は一体どれくらいいるでしょうか?「父親は祖父の実子か」「母親は初婚で自分を出産したのか」「父親の出生地は何処なのか」など、言われてみるときちんと確認したことがないことが多くあることに気づきます。
 過去に自分の戸籍簿を取得したことがある人は一緒に親の記載があるのを見たことがあるかもしれませんが、親について言えば、その戸籍簿でわかるのは通常は「結婚してから」の分だけです。結婚前のことは記載されていません。これが祖父母や伯父伯母(叔父叔母)となるとますます未知の事となるでしょう。

 相続が開始されてから、(特に「遺言書」等がない場合は)被相続人に「財産(借金等マイナスの財産も含めて)がどれだけあり、それを相続する人(法定相続人)は誰なのか」ということを調べるため、まず「相続財産の確認」と「相続人の確定(親族調査)」が必要になります。このうち「財産」については、被相続人はまだ亡くなってないわけですから、年金等何らかの収入があったり、生活費や娯楽・買い物などまだまだ変動する要素がありますので、実際の相続開始まではできることはありません。しかし、親族関係(実際に相続が開始した場合に誰が相続人となるのか)については、“現時点”での親族関係を調査し確認・把握しておくことは可能です。もちろん、今調査しても実際に相続が開始するまでには結婚・離婚したり子供が生まれたり、養子縁組(または解消)をしたりと、こちらも変動する可能性がないわけではありませんが、少なくとも現時点での親族関係は確認することができます。

 当事務所の「相続開始前親族調査」では、未知の親族関係(相続関係)に備え、実際に相続が開始した際にスムーズな手続きを支援するためのサービスです。調査により万一知らなかった親族の存在が発覚した場合や法的に親子関係が成立していないことがわかったといった場合でも、想定被相続人(ここでは、例えば親)がまだ健在であれば、何らかの相談や対策等をすることができる可能性がありますし、少なくとも事実を正確に知ることで何らかの準備をしておくことができます。

 当サービスを利用するタイミングとしては、「親が一定の年齢になった」「親が体調・健康を崩した」「親の物忘れが目立つようになった」など、親の健康状態や認知機能が著しく低下してしまう前、または「自分自身が体調を崩した」や「就職し社会人として自立した」「結婚して自分の家族を持った」「子供が生まれた」など、自分自身が一定のポジションになったことを機に検討してみることをお勧めします。

 仮にあなたが当サービスを利用して親や祖父母に関わる親族関係を調査したとしても、それが他の親族に知られる心配はありません。また、行政書士にも法令により厳しい守秘義務が課せられており、こちらも情報漏洩の心配なく、安心してご利用いただけます。

2021年01月12日

「苗字」の淘汰

 「立山 太郎」と「早月 清子」が結婚する場合、市役所に「婚姻届」を提出します。いや、むしろ、婚姻届を提出し受理されることで初めてふたりが結婚したということになります。
 婚姻届を記入・提出したことがある方はご存知だと思いますが、その中には「どちらの氏(姓=苗字)を名乗るか」ということを記入する欄があります。男女平等が叫ばれる現代においても、男性側の姓を名乗ることがまだ圧倒的に多いので、このふたりに当てはめると、婚姻届が受理されることで夫となる男性側の姓を名乗り「立山 太郎」を筆頭者とする新戸籍が作られ、そのメンバーとして妻となる清子も記載されるということになるわけですが、その際に「早月 清子」は苗字を変え「立山 清子」となります。

 世の中には数多の「苗字」が存在しています。鈴木・佐藤・田中・山本…など全国的にもメジャーな苗字は、この先100年・1,000年と経ってもたぶん存続しているでしょう。世の中にこの名字の人が多い分、この氏の戸籍が新しく作られる確率が高いからです。一方で全国で数軒・数十軒だけといったマイナーな苗字は、子がいない・娘が嫁いで相手方の苗字になる・子(跡継ぎ)が死亡した…など様々な理由で断絶する確率が高いと言えます。
 現行の民法どおり「結婚によってどちらかの苗字になる」ということを、この先100年・1,000年と続けていくと、苗字は次第に淘汰されマイナー苗字は徐々に消えていくということが想像できます。かつて日本中に数多く存在した「村」などが幾度かの合併によってその村名が淘汰されたように。地域で有力(規模の大きい)な市町村の名前が残り、そうではない村名は消えていったのです。地名であれば消えた村名も合併後の地域名として残るケースも多いのですが、人の苗字となれば選択されなかった方は復姓でもしない限り完全に消滅してしまいます。
 現在、日本にはマイナー苗字も含めて30万種近い苗字が存在しているらしいですが、そのうち全国で100軒以下しかない超マイナー苗字(絶滅危惧種)は約1万種だそうです。
 いつか数十種類に淘汰されるということはないにしても、これらの超マイナー苗字の消滅は数年・数十年の内に現実に起こり得る事なのです。(いや、すでに消滅した苗字もあるでしょう。)

 そこで、非現実的な提案として、「苗字を作るのOK」の法律制定を検討してみてはいかがでしょうか。
 婚姻届が受理されると、そのふたりはこれまでいたそれぞれの親の戸籍を離脱し、新たに自分たちのどちらかが筆頭者となる新しい戸籍が編成されます。(再婚などの場合はこの通りではない場合があります)
 先に登場した立山太郎・早月清子両人で言えば、選択できる苗字は「立山」か「早月」の二択です。ここにもともとある「立」「山」「早」「月」の4字を使って「月山」や「立月」などの苗字を作ることもOKというように。そうすれば消滅していく苗字がある一方で新たに登場する苗字も出てきます。またマイナーなものに価値を感じる人も一定数いますので、マイナー苗字が登場する確率が非常に高いと言えるでしょう。
 ただ、無制限に自由に苗字を作っていいということにすると、単に奇をてらった無秩序なものが現れることが考えられるので、以下のルールも同時に提案します。
 ●戸籍筆頭者は苗字云々とは切り離して任意に決めることができ、苗字は「もともとの苗  字のいずれか」または「新たに作成した苗字」のうち任意に選択できる
 ●新苗字作成の場合は、使用できる文字はもともとふたりの苗字にあった文字のみ
 ●「長谷川」など、3文字の人が絡む場合は3文字までなど、文字数制限を設ける
 ●読みは、常用漢字としての読みおよびもともとの読みのみ(特別な場合は家庭裁判所の許  可が必要)
 ●新苗字を作るのは、一生で1回のみ(再婚の場合もどちらかが過去に一度作成している場  合は、再度作成はできない)
 …以上のようなルールを設ければ、無秩序に奇妙な苗字が乱立することをある程度防げると思います。

 「苗字」という日本の文化を、そしてその多様性を末永く存続させていくため、議論してみるのもいいのではないでしょうか。

2021年01月13日